中原中也や堀辰雄などと同時代を生き

わずか24歳の若さで夭折した抒情詩人の立原道造さん。

義理の母が大好きで、詩集を貸してくれていました。

当時、不覚にもその名前は知りませんでした。

久しぶりに手に取り、読んでみたのですが

美しい言葉とそのリズムに再び心を奪われました。


彼が病床にあったとき、

友人への手紙に

「5月の風をゼリーにつくってください」

と書いたそうです。


ちょっとキザ?ともいえますが

なんて素敵な言葉でしょう。


義母も若き頃に彼の詩を読みながら

情景を眼に浮かべ、

心ゆくまで味わったそうです。


私が一番好きなのは、代表作としても知られる

「のちのおもひに」

 夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
 水引草に風が立ち
 草ひばりのうたひやまない
 しづまりかへつた午さがりの林道を


で始まる14行の作品です。


とっても短いものにも

心が動くものがたくさんあります。


大正生まれの20代の詩人によって

何十年も前に書かれたものが

今でも変わらずあるということ。

文学はみんなそうですけれども、

義母に続き、私も娘も同じ言葉を味わい

それぞれに心にしみる何かを感じられるということ。

同じものに心惹かれ、共有できるということにも

何かつながりを感じます。


それにしても

そんな決して色褪せない言葉たちを

紡ぐことができるなんて。


彼の思いが時を超えて、今も生き続けている。

それも感慨深いです。

どんな人生を歩まれた方なのか

そんな本も読んでみたいと思いました。



Miwako





立原道造詩集 (岩波文庫)
立原 道造
岩波書店
1988-03-16